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ひょうごスーパーハイスクール先進校枠指定校事業特別講義

 令和3年3月17日(水)11:00~ 本校体育館において、『自動運転の実現による社会への貢献に向けて』と題して2年生を対象に、先進モビリティ株式会社 取締役 原田 努氏の講演会が行われました。

 先進モビリティ株式会社は、東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターの自動運転や隊列走行などの研究・開発成果を社会に還元するため、2014年6月に設立された東大発のベンチャー企業です。ドライバー不足に起因する問題が深刻化していることから、路線バスや鉄道の廃線による住利便性の悪化、物流性悪化による経済的損失など、地域交通・物流における課題を解決し、新しいまちづくり・地域の活性化を自動運転により目指しているそうです。

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 講演会が行われる前に、2年生の生徒全員にアンケート調査がありました。アンケート結果の一部を紹介します。

「自動運転が実現したら、どのような社会になると思いますか?」

 「交通事故が減る」、「ドライバーが疲れないので仕事の効率が上がる」、「信号無視やあおり運転がなくなる」といったメリットに対し、「システムの誤作動や運転手の危機意識の低下により、交通事故が増える」といった意見もありました。

「あなたが自動運転の実現にかかわるとしたらどのようなことに関わりたいですか?」

 利用者として関わりたいという生徒だけでなく、工業高校の生徒らしく技術開発者として関わりたいという割合も多かったそうです。 

 

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 車は「走る・曲がる・止まる」といった3つの動きからなっています。人間の目と脳の判断をすべて機械で代用すると、驚くほど多くのセンサーが必要となることを知りました。これに加えて、安全に目的地までひとや荷物を運ぶために行う自動運転の実現には、さまざまなシステムが必要になってきます。車線維持制御、速度維持制御、障害物回避制御、車線変更制御、バス停正着制御など、制御を行うために道路側にはも磁気マークをつけたり、それを検出するためのセンサーなど、人間の目と判断力がいかに優れていることが分かります。また、バスやトラックのように大きな車体では、前方、後方、側方にもカメラが必要になります。

 このように自動運転を実現するためのシステムには、AIをはじめとする多くの技術が詰め込まれていました。 

 そして、自動運転の実現には、大学内での技術開発だけではなく、社会の中で実証実験を行う必要があり、本番さながらの実験でより実践的なデータを集めることが不可欠です。そこで、国家プロジェクトとして、さまざまな会社や地域、警察とも連携・協力しながら、バスやトラックの自動運転の実証実験が行われている事例をyoutubeで見せていただきました。

 先月(2021年2月)には、トラックの実証実験として、高速道路のパーキングエリアから出発し、後続車2台を無人にした短車間距離での隊列走行(全長60mに及ぶ)が行われていました。無人のトラックとの間に割り込んだ時には、「割り込まないでください」といったメッセージを点灯する仕組みのほか、それでも割り込むと、安全のため、後続の無人トラックはハザードランプを点滅させながら停止する仕組みとなっていました。


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 バスの実証実験では、羽田空港内で道路を封鎖して行われ、運転席は無人であるものの緊急停止スイッチを押す人が同乗しており、常に安全を万全にして実施されていました。兵庫県三田市でも、運転席に運転手さんが乗った状態で、自動運転の実証実験も行われている動画も見せていただきました。


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 車本体の自動運転技術だけでなく、安全に使える社会の仕組みづくりも重要であることを強く感じました講演会でした。

 バスやトラックの自動運転が実現される日が待ち遠しいですね!

 先進モビリティ株式会社 取締役 原田 努様、貴重なご講演ありがとうございました。